アパレル販売員、必見!
特徴・背景・メリット・デメリット・販売方法を徹底解説
アパレル販売員として働いていると、日常的に耳にする専門用語のひとつに「キャリー品」があります。
接客や在庫管理、売場作りの精度を高めるうえでも欠かせない言葉ですが、意外と明確に説明できない人も少なくありません。
そこで今回は、
・キャリー品とは何か
・キャリー品の特徴
・キャリー品が生まれる背景・メリット・デメリット
・キャリー品をどう販売すべきか(実務的ポイント)
・キャリー品とセール品・定番品との違い
・ブランド側と販売員側、それぞれの視点からの役割
など、アパレルの現場で役立つ知識を“販売員目線”でわかりやすくまとめます。
アパレル販売の経験者・百貨店で働くスタッフ・これから販売職を目指す人にとって、日常業務に直結する内容です。
ぜひ参考にしてください。
キャリー品(carry=持ち越す)とは、特定のシーズンで売り切らず、翌シーズン以降にも継続して販売する商品のことを指します。
アパレル業界は通常、
・春夏(SS)
・秋冬(AW)
という形でシーズンごとに新作商品を展開します。
しかし、毎シーズンすべての商品が売り切れるわけではありません。
そこで、一部の商品は 次のシーズンに持ち越し(carry)て販売 されます。これが「キャリー品」です。
▼ キャリー品の例
・定番的な形のカットソー
・毎年人気のスラックス
・色・トレンドの影響を受けにくいニット
・シーズン終盤に入荷した商品
・気温の影響で売れ残ったアウター
つまりキャリー品は、「時期をまたいで販売しても価値が落ちない商品」といえます。
キャリー品には、アパレルならではの共通した特徴があります。
販売員が理解しておくと、接客トークや売場作りが格段にしやすくなります。
キャリー品に最も多いのはベーシックなアイテムです。
トレンド性が強すぎる商品は翌年には“古く”見えてしまうため、キャリー品には向きません。
▼ 例
・白・黒・ネイビーなどの定番色トップス
・シンプルなテーパードパンツ
・ベーシックなカーディガン
・スタンダードなシャツ
「翌年も売場に並べても全く違和感がない」ということがキャリー品の条件です。
毎年売れる「定番品」は、そのままキャリー品として扱われることが少なくありません。
▼ 例
・毎シーズン人気のストレッチパンツ
・リピーターが多い美脚デニム
・ブランドを代表する無地Tシャツ
キャリー品は「売れ残り」と誤解されがちですが、実際には“売れ続けるからこそ持ち越される” ケースも多いのです。
シーズン初期は新作の入荷がまだ少ないことが多く、売場がスカスカになりがちです。
その際にキャリー品があると、売場のボリュームを維持できます。
ブランド側が「長く売れる」と判断して多めに仕入れている商品は、キャリー品として売場に残ることがよくあります。
キャリー品が存在するのには、アパレル業界ならではの戦略的理由があります。
販売員の立場からも知っておくことで、販売戦略の理解が深まります。
アパレル業界において気温は売上に直結します。
暖冬や冷夏になると、気象に左右されやすいアウター・ニットなどは売れ残りが多く発生します。
→ シーズンの後半に売れ切らず、キャリー品となり翌シーズンに回される。
▼ 例
・11月が異常に暖かくコートが動かない
・夏が長引き秋物の立ち上がりが遅れる
これらは毎年の課題であり、キャリー品はリスク分散にも役立ちます。
近年は「ベーシック回帰」のトレンドが続き、“長く使える服” を求める消費者が増えました。
そのため、
→ ベーシックアイテムの需要が安定
→ キャリー品として扱いやすい
という流れが生まれています。
ブランドによっては「安売りをしない方針」が強く、セールを控えてキャリー品として翌年に回すことで、ブランドイメージの維持を図ります。
セールにすると価値が落ちるため、
・値下げせず翌年も同価格で販売
・シーズンレス展開してブランドの世界観を守る
といった戦略が取られます。
生産の都合上、ある程度の数を仕入れる必要があるブランドもあります。
大量生産 → そのシーズンで売り切れない → キャリー品として持ち越す
これは特にSPAブランド(自社製造・自社販売で価格帯が比較的手ごろ)に多く見られます。
キャリー品が存在するのは、ブランド側にも販売員側にもメリットがあるためです。
新作が届くまでの間、キャリー品が“つなぎ”となってくれるため、品薄状態を防ぎます。
アパレル業界は大量の洋服が廃棄されることが社会問題になっています。
キャリー品として翌年も販売できれば、環境負荷の軽減にもつながります。
セールで安売りするとブランド価値が下がるため、
キャリー品として定価販売を継続することでイメージを守れます。
キャリー品には “売れ続ける定番商品” が多いため、売上が作りやすいです。
新作の提案+キャリー品で価格帯のバランスを取りながら、幅広い客層に提案できます。
▼ 例
「まずはこちらの定番アイテムでサイズを合わせてみましょう」
「毎年人気で安定感がありますよ」
など、接客トークにも使いやすい特徴があります。
もちろん、キャリー品はメリットばかりではありません。
詳しいお客様からすると、「これ去年もあったよね?」と気づかれることがあります。
トレンドの波のあるブランドほど、キャリー品は違和感を持たれやすくなります。
新作のワクワク感が薄れてしまうため、ブランドコンセプトによってはデメリットになります。
翌年まで在庫を保管するためのスペースが必要になり、ブランド側の負担も増えます。

キャリー品は“売れ残り”ではなく、戦略的に売るべきアイテムです。
販売員が意識しておきたい販売ポイントをまとめます。
キャリー品はベーシックで使いやすいものが多いため、
・「毎年人気のシルエットなんです」
・「お仕事でもプライベートでも着回しやすい」
・「長く使える定番で、リピーターさんも多いです」
という 安心感の訴求 が効果的です。
単品で売るより、新作と合わせた提案が強いです。
▼ 例
・新作トップス × キャリーの定番ボトム
・新作アウター × キャリーの万能ニット
→ お客様は新作に興味を持ちつつ、キャリー品の安定感も評価して購入に結びつきやすい。
キャリー品=旧商品と誤解されやすいですが、価値を伝えれば定価でも十分売れます。
▼ 伝えるべきポイントは以下の3つ
1.長く着られる素材・形
2.毎年人気の理由
3.新作との違い(良い意味での“変わらなさ”)
キャリー品はコーディネートの土台にすると非常に便利。
・新作の色やトレンドを引き立てる
・売場全体に統一感を出せる
・着回し提案に説得力が出る
キャリー品を“縁の下の力持ち”として活用できます。
価格タグを見るとキャリー品と分かるお客様もいます。
そのため、接客では…
・あえて「キャリー品」という言葉を使わない
・新作と同じテンションで扱う
ことがポイントです。
①キャリー品 vs セール品
| キャリー品 | セール品 | |
| 価格 | 基本は定価 | 値下がりしている |
| 目的 | 来季も売るため | 在庫消化 |
| イメージ | 安心・定番 | お得・早い者勝ち |
| 販売時期 | 通年 | シーズン末 |
キャリー品は “値引きではなく価値で売る” アイテムです。
・定番品 … 毎年変わらず販売
・キャリー品 … “定番ではないが結果として持ち越された商品”
定番品の一部がキャリー品になることは多いですが、完全にイコールではありません。
1.売場の鮮度を損なわないよう配置を工夫する
→ 新作の横に置く、トルソーは新作中心にする
2.トレンド色・素材と合わせる
→ キャリー品を“今年らしく”見せる
3.昨年の売り場写真と比較し、マンネリ化を避ける
4.店舗内の在庫を把握し、必要以上に多く並べない
キャリー品は便利ですが、使い方を誤ると“古い店”に見えてしまいます。
バランス感覚が重要です。
キャリー品を理解して販売すると、以下の力が身につきます。
・ベーシック商品の魅力を伝える力
・コーディネート提案の幅
・お客様の嗜好分析力
・売場のバランス感覚
・在庫戦略の理解
これは百貨店販売員・アパレル販売職なら必須のスキルです。
キャリー品とは
翌シーズンに持ち越される商品のこと(=時期をまたいでも価値が落ちない商品)
特徴
・トレンドに左右されない
・定番商品であることが多い
・売場の“穴埋め”として役立つ
メリット
・品揃えを維持
・在庫ロス削減
・ブランド価値を守る
・販売員にとって売りやすい
デメリット
・昨年のものに見える場合がある
・売場の鮮度が落ちる可能性
・保管コストが発生
販売方法
・定番の安心感を訴求
・新作との組み合わせ提案
・コーディネートの“ベース”として使う
・接客時はキャリー品と強調しない
キャリー品は単なる「売れ残り」ではなく、ブランド戦略や販売戦略の一部として非常に重要な存在です。
販売員がキャリー品の意味を理解して活用することで、売場の完成度も、接客の質も、売上も確実に向上します。
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