ファッション用語『コレクション』とは？完全ガイド

コレクション（Collection）とは、ブランドがシーズンごとの新作を発表する場のこと。

より正確に言うと…

デザイナーがシーズンに向けて制作した服・アクセサリー・靴などを「ひとまとまりの創作物」として世の中に発表するイベント（あるいは作品群）を指す。

つまりコレクションとは、

・新作のお披露目

・ブランドの世界観の発信

・トレンドをつくる場

・バイヤーが買い付けをする判断材料

・メディアが報道し社会に広がるきっかけ

などファッションの最も中心的なイベントであり、ファッションの一年がここから動き出すとも言えます。

コレクション＝ショー形式とは限らない？

実は「コレクション＝ファッションショー」というのは半分正解で半分誤解。

近年では、

・ルックブック（写真集）のみ

・動画での発表

・インスタライブ

・プレゼンテーション（モデルが立って見せる展示会形式）

など、多様な形式での「コレクション発表」が増えています。

本質は “新作を世に発表すること”なのです。

なぜ世界中のブランドが、莫大な予算をかけてコレクションを行うのでしょうか？

理由は主に以下の5つ。

（1）ブランドの世界観を発信するため

コレクションはブランドの「名刺」であり「物語」。

・今シーズンは何を表現したいのか

・どんな価値観や文化を反映しているか

・ブランドの方向性はどこに向かっているか

これを “作品という形” で見せる場です。

（2）トレンドをつくるため

実は、世の中で流行する多くのものは、コレクションがきっかけで生まれています。

・カラー

・素材

・シルエット

・デザインモチーフ

・スタイリングの方向性

こうした要素が、春夏・秋冬のトレンドとして波及し、アパレルショップの商品や雑誌・SNSの世界へ広がっていきます。

（3）バイヤーの買い付け判断材料になる

コレクションを見て、バイヤーは以下を判断します。

・どの商品を仕入れるか

・どのくらい仕入れるか

・自店舗のターゲットに合うか

・今季どんなテーマで売場をつくるか

つまりコレクションは、店舗の商品構成を決める最初の入口。

アパレル販売員の店頭に届く商品も、「コレクション」の流れから生まれています。

（4）ブランド価値の向上

メディア露出、SNSでの拡散、セレブやインフルエンサーの着用など、コレクションはブランドの認知と信頼性向上にも大きく貢献します。

（5）文化・アート・クリエイティブの発信

ファッションは服の販売だけではなく、「文化」「思想」「社会問題」を発信するメッセージ性の強いアートでもあります。

コレクションには、

・フェミニズム

・サステナビリティ

・多様性の尊重

・反戦のメッセージ

など、時代を映す表現が込められることも多いのです。

一般的にファッションのコレクションは 年間4回開催されます。

（1）春夏（SS：Spring/Summer）

開催：前年9〜10月
発売：翌年2〜3月頃
特徴：軽い素材、明るい色、肌の露出が増える傾向

（2）秋冬（AW：Autumn/Winter）

開催：2〜3月
発売：8〜9月頃
特徴：重めの素材、ダークトーン、レイヤード

この「春夏」「秋冬」がメイン。

さらに…

（3）リゾートコレクション（Resort／Cruise）

開催：5〜6月
発売：11〜12月頃
特徴：旅行・バカンス向け、実用性が高い
※シャネルやディオールが特に力を入れる

（4）プレフォールコレクション（Pre-Fall）

開催：12月頃
発売：6〜7月頃
特徴：秋冬の前哨戦、最も売れるアイテムが多い

これらはブランドにとって通年の売上を支える重要なコレクションです。

世界で最も権威あるコレクションは以下の4つ。

① パリ・ファッションウィーク（Paris Fashion Week）

世界最高峰。オートクチュールの本場。
シャネル、ディオール、サンローラン、バレンシアガなど多くのメゾンが参加。

② ミラノ・ファッションウィーク（Milan Fashion Week）

イタリアンラグジュアリーの中心。
プラダ、グッチ、アルマーニ、フェンディなどが登場。

③ ロンドン・ファッションウィーク（London Fashion Week）

新鋭デザイナーの登竜門として評価が高い。
アバンギャルドで先鋭的なブランドが多い。

④ ニューヨーク・ファッションウィーク（NYFW）

商業性とリアルクローズに強い。
マークジェイコブス、トミー、コーチなどが有名。

これら四大コレクションは、世界のトレンドを決定づける中心イベント です。

 ファッションショーとコレクションの違い

• ファッションショー：形式（ショーという手法）

• コレクション：新作発表そのもの（ショーである必要はない）

 オートクチュールとコレクションの違い

• オートクチュール：一点物・特注・最高級

• コレクション：量産前提（プレタポルテ）の作品群

 プレタポルテとコレクションの違い

• プレタポルテ：既製服

• コレクション：シーズンの新作全体の発表

近年はプレタポルテのコレクションが主流です。

▼ プレタポルテとオートクチュールの違いについては下記コラムをチェック！

アパレル販売員にとって「コレクションの知識」は武器になります。

（1）お客様への接客トークが豊かになる

▼ 例

・「今シーズンは○○ブランドがこのカラーを打ち出していて…」

・「トレンドのシルエットはコレクションから広がっていて…」

・「この素材は海外コレクションでも注目されていて…」

こうした知識は 説得力のある提案につながります。

（2）ブランドの世界観を正しく伝えられる

コレクションテーマを理解している販売員は、
商品を「ただ売る」のではなく、物語と価値を伝えられます。

（3）自社商品の魅力を深く理解できる

どんな背景で作られたシーズンなのか理解していると、

・デザインの意図

・素材選びの理由

・カラー展開の意味

などがお客様に伝えやすくなります。

（4）キャリアアップにも必須

店長・本部・バイヤー・MDなどに進むほど、「コレクションを見る力」が必要になります。

近年の特徴は以下。

（1）デジタル配信の増加

パンデミック以降、動画・VR・インスタライブなどが一般的に。

（2）サステナブルな演出・素材

環境配慮を意識し、ショーの演出もミニマルに。

（3）ジェンダーレス化

性別の境界を越えたコレクションが増加。

（4）ストリートカルチャーの影響

ハイブランド × ストリートの流れが加速。

この記事で解説したように「コレクション」とは単なる新作発表ではなく、

・ブランドの世界観

・トレンドの発信源

・アパレル業界の1年のスタート

・バイヤーやメディアの判断基準

・文化やメッセージの発信の場

という、ファッションの中心的役割を持つイベントです。

アパレル販売員・ファッション学生・業界を目指す人にとっては、理解しておくと確実に差がつきます。

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